
バンコクの胃袋、ディープなクロントゥーイ市場へ
No. 425
バンコクにはさまざまな市場があります。
有名なところでいえば、バンコク最大の敷地面積を誇る「チャトゥチャック・ウィークエンド・マーケット」で、ここにはファッションから日用品、インテリアやアンティークグッズ、食料品、なんとペットまでが売られています。
今回紹介する「クロントゥーイ市場」はバンコク中心部から少し離れた場所に位置し、地元の密着感をいたるところに感じる、かなりディープな市場。
ここは生鮮食品をはじめ、肉、魚、果物、乾物など、あらゆる食材が手に入るので「バンコクの胃袋」的な存在です。よって、敷地は広大。すみずみまで見て回ると1時間以上はかかります。
一般の買い物客もいますが、地元の飲食店関係者も買い付けに訪れることでも知られ、早朝や深夜の時間帯でも配達トラックの往来が絶えません。
バンコクの暑い陽射しを避けるためのアンブレラが所狭しと立つ市の間を縫うように、狭い路地が走ります。人やトラックでごった返すなか、のんびりと宝くじを売る人もいるのがこの市場の面白いところ。
さまざまな種類のスイカも並んでいました。
1玉110バーツ(約460円)とはお安いですね。
カットしたものを購入してホテルで楽しむのもよいでしょう。
見るからに辛そうな唐辛子の群れも待ち受けていました。
私はこの日、コブミカン(キーファーライム)の葉をゲット。
スーパーマーケットの半額以下で買えましたよ。
喧騒の中で繰り広げられる地元の人同士の活発なやりとりは地元の生活を間近に見る絶好のチャンス。
タイのほとんどの市場では値段交渉をすることもできるので、タイ語が話せなくてもジェスチャーで行うのもOK。これぞ日常を離れた旅先の醍醐味といえます。
この市場は1日を通じて営業していますが、これぞクロントゥーイといえるのが夜間。
暗がりに灯る裸電球の光、売り手と買い手のやりとり、トラックで運ばれてくる鶏の群れ。魔窟のような雰囲気が宿り、普段日本で暮らしているとほぼ目にすることはない光景が広がっていました。
市場近くの路上では、スニーカーを販売する風景も見られました。
高層ビル群に洗練されたショッピングモールなど、都会の斬新な顔を見せるバンコクに、まだこのような場所があることに安堵を覚えてしまいます。
クロントゥーイ市場は観光地化されたバンコクではなく、その根底に流れる「生活」にふれられます。世界からの観光客と混ざって訪れる観光地も素敵ですが、地元の人々のエネルギーを感じられるこの市場は、バンコクに暮らす人たちの生活を垣間見れる場所なのです。
さて、クロントゥーイ市場を訪れたら、ぜひ食べたいと思っていたのが市場近くの「ヘンチュンセン」というお店の「モーファイ鍋」。
「モー」は「鍋」、「ファイ」は「火」を意味し、「火鍋」という意味です。
日本でも食せる火鍋とは異なり、タイのモーファイは牛肉やモツがどっさりと入っているのが特徴で、タイでモーファイといえば、「牛モツ鍋」のこと。このお店の店頭でも大鍋に牛肉やモツが大量に煮込まれていました。
中央に煙突のようなものがある専用鍋でいただくのですが、テーブルで火を起こすので温かさがずっと保たれます。
具材は牛肉やモツ、野菜など。追加でお肉や麺を入れることも可能です。
お肉に野菜、香草なども入り、食べ進んでいくうちに心身ともに元気になってくるモーファイ。
旨みが染み出したスープがまた美味しく、飲み干してしまいました。
バンコクを散策する際、地元の生活を知りたければ、ぜひクロントゥーイ市場へ。
その前にスタミナ補給として、モーファイ鍋を楽しむのもよいかもしれませんね。
<ご案内>
クロントゥーイ市場
Khet Khlong Toei, Bangkok 10110
ヘンチュンセン
133 Sunthonkosa Rd, Khwaeng Khlong Toei, Khlong Toei, Bangkok 10110