
クラシカルな建造物が歴史を物語る、冬の日光へ
No. 424
澄んだ空気、冷たい風、そして時折、雪が舞う冬季の日光。
「寒い土地には寒い時期に行け」と言われますが、私は冬の日光が好きで、この歴史ある街の新たな顔を見つけるのがいつも楽しみです。
日光山内へと続く参道がその1つ。
コロナ禍もあり、数年ぶりに訪れましたが、驚いたのはオシャレなお店が増えていたこと。とくにスイーツショップはこれまで見たことのない、新しいお菓子がお目見えしていました。日光といえばの「見ざる、言わず、聞かざる」のお猿さんたちをモチーフにしたお菓子も見つけましたよ。
そしてやはりと言うべきか、お店の増加と比例するようにインバウンドの観光客も目立っていました。
小腹を満たすために訪れたのは、参道沿いにお店を構える「宮前だんご」。
焼き立てのお団子をお店のなかでいただくこともでき、店内に暖を求める人たちでいっぱい。詣でる人たちにとっては救世主のような存在なのです。
一串に4つのお団子が連なっていますが、これは仏教用語の「四締の理(したいのり)」に基づき、4つの心理を表現したもの。
自家製のお団子は米と米粉を用いた生地で作られているそうです。
金谷ホテル付近では朱色の神橋が渡された大谷(だいや)川が見えます。
この川の美しい水色は冬を迎えるとより美しく感じられます。
冬の光を受けて清らかな水面が輝き、その色合いはまるでアクアマリンのよう。川の流れは日光の冬景色をより一層引き立てます。
大谷川周辺に到着すると普段は日光山内に向かうのですが、この日は国道120号線を西参道方面に進み「日光真光教会」へ。
この古めかしい石造りの教会は建築設計家にして教育者、宣教師として来日したジェームズ・ガーディナーが設計したもので、大正時代の1914年に完成しました。
当時の日光は欧米人の避暑地としての顔をもち、こちらは避暑に訪れた彼らの礼拝の場でもありました。
いつも外観を眺めるだけでしたが、初めて教会のなかに入ることにしました。
なかに一歩足を踏み入れると、石造りの頑強なイメージから一転、木のあたたかみに包まれます。
祭壇の反対側にはステンドグラスが一面を彩り、その厳かな美は言葉を失ってしまうほど。冬のピリッとした空気と教会のぬくもりが一体となり、心に染み入るような静かなひとときを過ごすことができます。
さて、この教会をじっくり眺めるなら、隣接する「日光カステラ本舗」へ足を運んでみましょう。
ガラス張りのお店の向こうには、先ほど訪れたクラシカルな日光真光教会が見えます。
カステラ以外にもさまざまなお菓子が販売されている店内ではイートインコーナーがあり、商品を購入すると無料でコーヒーをいただくことができますよ。
もう1つ、素敵な建物を紹介しましょう。
JR「日光」駅はクラシカルな駅舎が日光の歴史を物語る建造物。
木造とレトロな要素が奏でる美しい駅舎は、1階に大正天皇の貴賓室があり(非公開)、2階の旧一等待合室(現ホワイトルーム)が公開されています。
冬の日光はただ寒いだけではなく、その冷たい空気のなかに美しさが宿っています。
あたたかい季節とは違う表情を見せる日光にきっと、また足を運ぶのでしょう。
2025年も楽しいブログをお届けできたらと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
<ご案内>
宮前だんご
栃木県日光市下鉢石町956
0288-53-3344
http://miyamaedango.dohome.net
日光真光教会
栃木県日光市本町1-6
0288-54-3464
JR日光駅
栃木県日光市相生町115
0288-54-0046