「河井寛次郎記念館」と「鍵善良房」を訪ねて。

　新録の季節。
　新調したワンピースを着て、心軽やかに！
　本日のお出かけは「河井寛次郎記念館」へ。そして江戸中期創業の和菓子屋「鍵善良房（かぎぜんよしふさ）」へ。

　京都東山五条にある「河井寛次郎記念館」。大きな表札は、棟方志功氏の書による黒田辰秋氏制作のもの。

　大正・昭和にかけて京都を拠点に活動した陶工・河井寛次郎の住居兼仕事場を公開した記念館。建物のみならず、館内の家具や調度類も寛次郎のデザインや彼のコレクションというまさに河井寛次郎一色の世界です。
　看板猫の「えきちゃん」に迎えられ、玄関を上がると、そこは吹き抜けの板の間。

「何という今だ　今こそ永遠」
　河井寛次郎は、明治23(1890)年島根県安来生まれ。大正10(1921)年、「第一回創作陶磁器展」を開催、以降生涯にわたり、作品を発表した陶芸家。

　ここでは自由に展示の椅子に座ることや、写真撮影の申告をすれば、撮影が出来ます。
　早速家具になった臼（うす）に座ってみましょう！
　しっかりとした木の臼は、お尻の形に合わせて彫られ、なんとも言えない良い座り心地です。

　昭和12年に、自らの設計により自宅（現記念館）を建築。

　陶芸に詳しくない私でも、自然と引き込まれる美しい空間です。

　大正末期、思想家・柳宗悦を軸に、浜田庄司（陶工）、河井寛次郎が主となって「民藝運動」を興しました。近代日本の工芸運動の一つです。
「民藝運動」とは、名もない職人たちの手によって、その土地に根ざして、美などというものを意識せずに作られているものの中にこそ健全な美が宿っており、従って、美とは決して遠い特別なものではなく身近なものである、日常の暮らしの中に美はあふれて息づいているのだ、とういうもの。

　素焼窯。

　仕事場。

　敷地の奥には、大きな登り窯。

　藤棚の見事なこと。蜜を求める蜂の羽音が絶えず聞こえてきます。

　寛次郎の面白いオブジェが並ぶ部屋は、とても不思議な空間です。美術館とはまた違った、日常の暮らしの中にある美を体感できる素晴らしいひとときでした。

　ゆっくりと記念館を堪能した後は、祇園にある「鍵善良房」へ。創業300年の歴史を誇る老舗和菓子屋。こちらで寛次郎の作品を見ることが出来ます。
　のれん横の「くづきり」は、河井寛次郎・書、黒田辰秋の額。

　12代目の善造氏が熱心に取り入れた民藝。黒田辰秋の菓子棚、河井寛次郎などの作品が店内に。

　奥にある広々とした喫茶店は、アーチ状の天井、絵画や軸のある落ち着いた雰囲気。
　お目当の「くずきり」と「わらびもち」をオーダー。

　筒柄のお重に入って参りましたのは、くずきり。黒蜜と白蜜から選ぶことが出来ます。

　厳選された葛を使った昔ながらの製法。暑い夏には、くずきりを食べて涼を得たのですね。絶妙なコシの強さ、つるんとした喉ごしが心地良く、また黒蜜が格別です。

　さて、こちらはわらびもち。

　何とも言えない食感ときな粉の香ばしさ、黒蜜が自然の甘さを加えます。疲れが吹き飛ぶ至福のひととき。たまりません！

　皆さんもちょっとオシャレをして、日常の美を探しに京都へお出かけはいかがでしょうか。（何と言っても美味しいものは外せませんね！）

＜河井寛次郎記念館＞
京都市東山区五条坂鐘鋳町569
075-561-3585
入館料大人900円

＜鍵善良房＞
京都市東山区祇園町北側264番地
075-561-1818

（詳しくはお問い合わせください）

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