広島の酒都・西条の酒蔵通りを散策
No. 297
灘、伏見と並ぶ、日本三大銘醸地として知られる東広島市西条（さいじょう）。
広島の酒都といわれるこの街では、JR西条駅東側に7社の蔵元が集まり、日本酒を造り続けています。
蔵元が集まる「酒蔵通り」は白壁の大きな酒蔵群に蔵の名が書かれた赤煉瓦の煙突、赤瓦の屋根が続きます。日本酒をひたすら作り続けてきた街ならではの光景。この酒蔵通りは経済産業省の「近代化産業遺産群続33」にも認定されています。
写真：公益社団法人東広島市観光協会
とくに、赤瓦は西条のシンボル。街中を歩いてみるとわかりますが、街中には赤瓦の住宅が多いです。西条は広島でも冬場は積雪があり、寒さ厳しい土地柄。この気候が赤瓦屋根に関係してきます。
赤瓦は島根県の石見地方で作られている「石州瓦」といい、雪への耐久性が高いことから積雪の多い地方で多く葺かれてきました。
山陽本線に乗り、西条に近づくと車窓から赤瓦の民家が目立ちますよ。
さて、酒造りに欠かせないのが水です。
西条には北部にそびえる龍王山の伏流水が流れ着き、蔵元がそれぞれ汲み上げて酒の仕込み水として使います。
その仕込み水を試飲できるように、西条の蔵元では仕込み水の井戸を設置しています。酒蔵通りを散策していると、仕込み水を汲みに来ている人を見かけることもありますよ。
通りで目を引く建物がこちら。
写真：公益社団法人東広島市観光協会
「くぐり門」と言われる古民家で西棟は「西条酒蔵通り観光案内所」、東棟はカフェ。よく見ると2棟の屋根がつながり、門を思わせるユニークな造形です。
実は昔、この建物の奥に「朝日座」という芝居小屋がありました。その「朝日座」への入口となっていたのがこの古民家。通称「くぐり門」として親しまれていました。
築80年以上を経たこの建物は老朽化のため取り壊す計画もあったようですが、酒蔵通りの活性化や観光の拠点となるべく、改装工事が行われました。そして、くぐり門という名前も引き継がれ、西条を訪れる観光客のくつろぎの場として生まれ変わったのです。
ちょうどお昼時だったので、東棟のカフェ「くぐり門」でランチを楽しむことにしました。
2012年にオープンしたお店では1階がコーヒー豆や酒まんじゅう、地元のお菓子などの販売コーナー、2階が仕込み水で淹れたコーヒーやランチを楽しめるカフェになっています。
お店に入った途端、コーヒー豆の良い香りに包まれます。入口付近ではコーヒー豆の焙煎機が置かれ、鮮度の高いコーヒー豆を購入することが可能。鮮度を保つため、お店ではペットボトルを利用しています。
昔ながらの階段を上がると、カフェへ。
やさしい灯りがともされ、ウッディなテーブルとチェアの配置が居心地がよいです。自然光が射し込む窓際には小上がり席も設けられていますよ。
天井の重厚な梁に建物の歴史を感じます。
外観からはわからないお店の秘密を知る楽しみが待っていますよ。(^-^)
ランチですが、私は「コメカラランチ」をオーダー。
蔵のかたちをしているお皿が可愛いですね。
「コメカラ」とは西条の日本酒と小麦粉の代わりに米粉を使ったトリの唐揚げのこと。
お酒にトリを漬け込むことで、柔らかく仕上がります。
米粉は小麦粉に比べて油を吸収しにくく、低カロリーで、ダイエッターの味方♪
カリッと揚がったトリ肉はジューシーで、旨みたっぷり。
ちなみに同行の友人は「東広島ランチ」をオーダー。
こちらにはコメカラのほか、東広島市安芸津町で生産されたジャガイモを使ったコロッケが楽しめますよ。
食後のデザートは地元の球団、カープのロゴ入りカップで。
食後は観光案内所に立ち寄って、酒蔵通りの情報をゲット。
くぐり門を後にして向かったのは「亀齢（きれい）酒造」です。
この蔵は昔、「吉田屋」という名前でしたが、明治初期に当主の石井幸太郎により「亀齢」と命名され、現在にいたります。
「鶴は千年 亀は万年」といわれるように、長命と永遠の繁栄をこめて名づけられたそうです。
この蔵はやわらかい口当たりの多い西条では珍しく、あえて辛口にこだわった酒造りを行うことで知られています。
蔵の売店では日本酒のほか、亀齢のロゴの入ったTシャツやバッグ、前かけなどが販売されていますよ。
西条の酒蔵通りには日本酒造りを楽しみながら勉強できる「見学室」を設けている蔵もあります。いつかご紹介しますので、お楽しみに♪
＜ご案内＞
くぐり門
広島県東広島市西条本町17-1
TEL 082-426-3005
https://kugurimon.com
亀齢酒造
広島県東広島市西条本町8-18
TEL 082-422-2171
https://kireikireikirei.jimdofree.com
