酒都・東広島市西条の「賀茂鶴酒造 見学室」へ
No. 307
先日は日本三大名醸地、東広島市西条の酒蔵通りと古民家を改装した人気カフェ「くぐり門」を紹介しました。
今回は賀茂鶴酒造の酒蔵を改装した「見学室」を紹介しましょう。
イコモス(国際記念物遺跡会議)の「日本20世紀遺産20選」に選定されている西条酒蔵通りは7つの酒造会社が軒を連ねる約1kmの通り。なかでも賀茂鶴酒造はJR西条駅に一番近い立地にあります。
酒蔵通りに共通する風景は赤れんがの煙突がのったなまこ壁の建物に酒樽、杉玉、仕込み水にも使われる井戸。賀茂鶴酒造の脇にも「福神井戸」という名前の井戸があり、一般の人も汲むことができます。
この水は西条の北部にそびえる龍王山の伏流水が約10〜15年もの歳月をかけて流れ着いたもの。原水は「軟水」ですが、山から西条盆地まで流れる間に鉄分が少なく、ミネラル分を含む「中硬水」に変わります。水は日本酒原料の80%を担うので、日本酒造りに適した良質な水を得られる土地柄こそ、酒都・西条の成功といえるでしょう。
日本酒は米、水、米麹から作られるお酒です。3つのシンプルな材料ながら、その工程は複雑で、気温や湿度などの塩梅も読み取ることが必要…。日本酒についてはそんな前知識しかなかったのですが、賀茂鶴酒造の敷地には日本酒造りを楽しく学べる「見学室」があるとのこと。早速、入ってみました(見学無料)。
ここは明治初期に建てられた「一号蔵」で、見学室はこの蔵のなかを改装しています。
ここでは日本酒の造り方を紹介する映像や酒造りに欠かせない道具の展示、賀茂鶴の歴史、再現した麹室のほか、きき酒ができる直売所も併設されています。
映像コーナーに置かれているイスはよく見ると酒樽をリメイクしています。
賀茂鶴酒造は「賀茂の地で最高の酒を醸す」という思いを縁起物の象徴「鶴」にのせ、明治6年(1873)に誕生しました。昭和33年(1958)に発売された「大吟醸特製ゴールド賀茂鶴」はこの蔵のロングセラー。実はこのお酒の登場で、西条が伏見や灘と並ぶ日本三大銘醸地の1つといわれるようになったといわれています。また、オバマ米大統領が来日された時の会食に出されたことでも知られています。
見学室でも大吟醸特製ゴールド賀茂鶴のアーティスティックな展示が見られました。
酒造りに用いられる道具の展示コーナー。たくさんの道具が並んでいますよ。
こちらは麹を造る室(むろ)を再現した部屋。
普段見ることのできない麹室には工程を紹介するパネルも展示されていますよ。
ちなみに高温・多湿に管理されている室は品質の良い麹菌を均等に繁殖させるために用いられる部屋。蒸し米を床に広げてよく揉み、麹菌を蒸し米に付着させる作業が行われます。
麹は日本酒造りの要で、麹を造ることを「製麹(せいきく)」といいます。日本酒造りの工程を表す「一麹、二酛(もと)、三造り」という言葉があるほど「麹造り」は重要な仕事です。
麹はもろみの発酵過程で米のデンプンを糖に変えるという重要な役割があり、この糖を酵母が食べることで、アルコールが発生する(お酒になる)というわけです。
この麹の品質によって、日本酒の品質も変わってくるので、どの蔵も麹造りに注力しています。
併設している直売所で見学室限定のお酒も販売されていますよ。
また、賀茂鶴酒造では「杜氏による酒蔵案内」も実施しています。日本酒造りの心臓部といわれる杜氏自ら、酒造りの工程について説明してくれるそう(事前予約が必要)。
さて、西条の郷土料理に「美酒鍋(びしょなべ)」があります。「びしゅなべ」ともいわれ、肉類や野菜を具材に、たっぷりの日本酒と塩・胡椒だけで味付けをするシンプルな鍋料理です。実はこの料理を考案したのが賀茂鶴の関係者といわれています。
写真提供:広島県
蔵人の仕事は水仕事が多くて、びしょびしょになることが多く、それを「びしょ」といいます。その言葉と「美酒(びしゅ)」をかけて、この名前に。
日本酒を惜しみなく煮汁に使いますが、加熱しているうちにアルコールが飛んで日本酒の旨味だけが残るので、お酒に弱い方や子どもも食べられます。すき焼きにビール入れて煮るという発想に近いかも!?
とくに寒い時期にはこの鍋がからだを温めてくれます。
西条には賀茂鶴酒造のレストラン「仏蘭西屋」など、美酒鍋を提供するお店もあるので、チャンスがあればぜひ味わってくださいね。
<ご案内>
賀茂鶴酒造
広島県東広島市西条本町9-7
TEL 082-422-2122
https://www.kamotsuru.jp/
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