ヒンドゥー、イスラム。多文化が息づくホーチミンの寺院巡り
No. 417
ベトナムの総人口は約9,930万人。
その約1割が暮らす大都市・ホーチミンには仏教・道教のお寺やキリスト教の教会の他、ヒンドゥーやイスラムの寺院も建ち、さまざまな信仰をもつ人たちが多く暮らしていることを実感します。
今回はホーチミンにあるヒンドゥーとイスラムの寺院を訪ねました。
ベンタイン市場のすぐ近くにあり、極彩色の神々の彫刻がちりばめられた入り口とオレンジ色の高い塀が目を引くヒンドゥー教寺院が「Mariamman Hindu temple（マリアマン ヒンドゥー寺院）」。
入り口の近くは早朝からお供えものを売る人たちと参拝者でごった返しています。
仏教徒の多いベトナムでなぜ、ヒンドゥー教？と思われるかもしれません。
後2世紀末から19世紀前半までベトナム中部は「チャンパ」と呼ばれるクメール系の国で、そこに暮らす人たちはヒンドゥーとイスラムが融合した文化を築きました。ヒンドゥー寺院に参拝するのは彼らの末裔です。
また、19世紀にはサイゴン（ホーチミン）にインド人の官吏や商人が移住してきたことから、彼らによってヒンドゥー寺院が創建されたといいます。このお寺もインドからやって来た商人によって建てられたものです。
かつて、ホーチミンに定住していたインド人は中国人の次に多かったのですが、ベトナム戦争以降、その多くが国に帰って行きました。
この寺院には病気を治すといわれる南インドの女神マリアマンが祀られています。
靴を脱いで境内へ足を踏み入れると、祭壇の前には敬虔なお祈りを捧げる人々の姿を見ることができます。
これは誠実な人に声が聞こえるといわれる壁。
たくさんの人が頭を壁にくっつけて祈っていました。
さて、“ホーチミンの銀座“こと、ハイブランドのブティックが並ぶ「ドンコイ通り」の近くにはムスリムのためのモスクがひっそりと建っています。
シェラトンサイゴンの隣、エメラルドグリーンの「Saigon Central Mosque（サイゴンセントラルモスク）」は1935年の建造物。
ホーチミンには12のモスクがありますが、なかでもこのモスクは代表格。
前述のヒンドゥー寺院には多くの参拝者が見られましたが、夕方前の時間帯だったせいか、境内にいたのは私だけ！
こちらのネコだけに遭遇しました。
礼拝堂の脇にはプール状のお清めの場が備わっています。
水面に付近の建物が映り、その美しい眺めが心に沁み入ります。
高層ビルの合間に建つこのモスクに来たのは初めてのこと。
繁華なドンコイ通り界隈にこんな静かな場所が隠されていたことに嬉しいショックを受けました。
さて、穴場なフレンチも紹介しましょう。
パスター通りのヘム（路地）の奥にある「Chef Thien」です。
お昼時を逃し、どこでランチを食べようとアタマを悩ませていた時のこと。
たまたま通りがかったヘムの入り口の看板を見て、まさかこんなところにビストロが！？と驚き、路地を入ってみました。
外観から家庭的な雰囲気がたなびいています。
メゾネットになっている店内は玄関近くに沢山のワインボトルとクリムトの「接吻」が飾られていました。
自家製と思しきパンとバター、飲み物が出された後は、前菜のソテーした牛肉がたっぷり入ったサラダが。
牛肉も好みの焼き具合で、全体をあえたドレッシングも美味しく、サラダを一口いただいて「よい店を見つけた！」と確信。
その勘は当たり、メインのスズキのソテーも丁寧な仕事がうかがわれ、お魚と付け合わせの野菜類を口に入れるたびに、美味を訴える舌の動きが止まりません。
ランチタイム終了間近に飛び込んだのにも関わらず、デザートまでいただけて、お店の快いサービスも感謝でいっぱい。
今回は3品オーダーで198,000VND(1,145円、2024年9月現在)でしたが、飲み物とtaxは別途かかります。
本格的なフレンチが楽しめるホーチミンですが、まだまだ知らないお店が多いです。
次回のホーチミンでも“偶然”に恵まれ、良いお店に出会えることを楽しみにしています。
＜ご案内＞
Mariamman Hindu temple
45 Truong Dinh Street, District 1, Ho Chi Minh City
Saigon Central Mosque
66 Dong Du Street District 1, Ho Chi Minh City
Chef Thien
158 Pasteur street,Ben Nghe ward,District 1,Ho Chi Minh city
028 6287 4135
https://www.facebook.com/chefthien
