アート列車で井原市立「平櫛田中美術館」へ
No. 420
先日、「デニムの街」岡山県井原市を紹介しました。
今回は井原市出身の近代日本を代表する彫刻家、平櫛田中(ひらくしでんちゅう、1872~1979)の美術館を訪ねた時のことを紹介したいと思います。
私は広島県神辺町から井原鉄道で井原へ向かったのですが、お往復とも思いがけず素敵なラッピング列車に乗ることができました。
行きは大原美術館所蔵の世界的な名画でラッピングされた列車。
車内でも名画が鑑賞できます。
帰りは岡山県域の夜空をイメージしたラッピング列車「スタートレイン」に乗車。
この列車は2021年11月に井原市美星町地区が「星空保護区」に認定されたことから誕生しました。
デニムの歴史を紹介する展示やデニムショップが構内にある井原駅から徒歩で約15分。緑豊かな場所に井原市立「平櫛田中美術館」はあります。
井原市で生まれた平櫛田中(ひらくしでんちゅう)は彫刻家として、明治・大正・昭和に渡って活躍。この美術館は田中の軌跡とともに、日本の彫刻芸術の深みにふれることができます。
2023年4月にリニューアルされ、木の温もりを感じる心地よい空間に生まれ変わった美術館の玄関に建つ黄金色に輝く彫刻は田中が「人生の師」と仰いだ岡倉天心像。
天心が五浦海岸に釣りに出かける姿を田中が彫刻刀を握って表したものです。
この日、訪れた時に開催されていたのは「第30回平櫛田中賞受賞記念展 棚田康司ー線上に幅を 空間に愛をー」。平櫛田中賞を2022年に受賞された彫刻家、棚田康司さんの作品が一堂に会した展覧会です。
棚田さんは日本古来の一木造を中心に木彫の人物像を造り続けている作家。
会場ではイノセントで何かを訴えたいのに心に秘めたような表情をした少年や少女、女神を思わせる巨大な彫刻などと対面しました。
少し前に棚田さんのドキュメンタリーがテレビ番組で放送されたこともあり、その番組をご覧になって足を運ばれた方も多くいらっしゃいました。
展示室に入ってすぐに目に飛び込んできた作品。
アグレッシブなポーズの彼女は今にも動き出しそう。
像の周囲を何度もまわって、木彫りの質感が醸し出すエネルギーを感じます。
この堂々とした佇まいは、展覧会を守護する女神!?
私的にはクリムトの傑作「ベートーベン・フリーズ」に描かれた恍惚の女性を思い出しました。光が当たる角度で移り変わる表情が神秘的。
この少年は繊細で何かに戸惑っているかのよう。
細い身体から緊張感が漂っています。
静かな人物像で知られる彫刻家、舟越桂さんの作品が好きな方はきっとシンパシーを感じるかも。そんな気がしました。
館内には平櫛田中の軌跡を紹介する展示も常設されています。
彫刻家として生きた田中の彫刻に込めた魂に出会える空間。
館内には平櫛田中の卓越した作品を中心に、1000点以上の芸術品が収蔵されているそうです。
棚田康司さんによる木に命を吹き込んだ人物像にふれる企画展、そして常設展を見終わった後は館内の休憩スペースへ。
自然光が気持ちよく射し込む全面ガラス張りの窓辺にはソファが置かれ、目の前の公園の緑をのんびり望めます。
さて、美術館に隣接するのは南斗山(なんとざん)の東斜面を背景にした5,240平方メートルの緑地公園「田中苑」。これは造園家・環境デザイナーの伊藤邦衛さんが手がけられたもの。
春は桜、ツツジ、サツキ、秋は紅葉と、四季折々の風景が楽しむことができます。
また、田中の名前が付けられているだけあり、苑内には平櫛田中の作品も。代表作の「鏡獅子」のブロンズ像も立っています。
さて井原で購入した、とっておきのお菓子を紹介しましょう。
それは「ごぼう羊羹」。
ごぼうって野菜のアノごぼう?と思われるでしょう。
井原市芳井町は「明治ごんぼう」の生産地。井原ではごぼうのことを「ごんぼう」と呼ぶそうです。このごぼうは粘土質の赤土で栽培。土に含まれている鉄分により、見た目が赤く、やわらかく、香りが良いのが特徴です。
ごぼう羊羹にはこの味と香りが生かされています。
まず、土を思わせる色、口に含むとこれまた土っぽい風味にビックリ!
けれど、ごぼうのアクを思わせるエッセンスとほどよい甘みがクセになり、後を引く美味しさ。唯一無二のお味です。
井原はデニム、平櫛田中美術館、ごぼうを使ったユニークな羊羹など、魅力ある街でした。
#棚田展
<ご案内>
井原市立平櫛田中美術館
岡山県井原市井原町315
0866-62-8787
https://www.city.ibara.okayama.jp/site/denchu-museum/
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