ハノイ名物！迫力満点の「トレインストリート」

いきなりの質問ですが、ベトナムの首都はどこでしょう？
「ホーチミン」という声がよく聞かれますが、南部のホーチミンはベトナム最大の経済都市。
首都はハノイで、11世紀に李王朝の都が置かれて以来、北部のこの街はベトナムの重要な役割を担ってきました。また、ベトナム建国の父である革命家ホー・チ・ミン氏が暮らしていた場所でもあります。

ハノイ旧市街ではバイクの波が絶え間なく流れる通りや屋台の湯気がふわりと立ち上る路地、緑豊かな街並みにふと現れる観光スポットなど、見どころがたくさん。

この街の観光スポットの1つに「Train street（トレインストリート）」があります。
その名の通り、ハノイ駅から隣駅のロンビエン駅までの一部の線路沿いにカフェが立ち並び、1日数回、列車が通り過ぎる様子を間近で見ることができます。

ベトナム南北鉄道はフランス植民時代に端を発します。
当初はハノイとベトナム北部の都市を結ぶための鉄道でしたが、現在は北部のハノイから南部のホーチミンまで全長約1,700km。かつて南北に分断された歴史があるため「統一鉄道」とも呼ばれます。

線路スレスレの狭い路地にカフェやお土産屋さんが軒を連ねるようになったのは最近のこと。2017年ぐらいから現在のような観光スポットになりました。

トレインストリート周辺は人々の暮らしが驚くほど近く、線路にほど近い民家の軒先ではサトウキビジュースを売る人もいます。

幅の狭い線路沿いのカフェでは木製の椅子が無造作に並べられ、ベトナムコーヒーの香りがほんのりと漂い、繁華な旧市街とはまた違う、ゆるやかなざわめきにあふれています。

人々はここを訪れると、線路を道のように歩き、テラス席でコーヒーやハノイビールを楽しみます。
しかし、その平穏なひとときは遠くから響く汽笛の音で一変。

列車が通過する約3分前にお店の人が「列車が来るよ！」と叫ぶと、店員が線路わきのテーブル席とイスをたたみ始め、お客さんに下がるように指示します。
列車が通過する頃になると、皆スマホを取り出してシャッターチャンスを狙います。

連結車両は16両くらいで、見物（撮影）タイムは約1分間。
轟音とともに列車が走り抜けて行った後、何事もなかったかのようにカフェは再開。
線路沿いのテラス席で人々は飲み物とともに談笑し始め、線路脇の狭い道を当たり前のようにバイクで通る人もいて、新たな時をゆるやかに刻み始めます。

こんな体験は日本ではまず、できません。
もしハノイに行かれたら、トレインストリートのカフェでお茶しながら、目の前を通り過ぎる列車を体験してはいかがでしょう。

さて、夕暮れのハノイ旧市街の繁華な街角には軽やかな笑い声とグラスを傾ける音が響き始めます。
ベトナムの生ビールを飲ませる大衆酒場「ビアホイ（Bia Hơi）」です。

ビアホイはハノイ旧市街のあちこちで楽しめます。店の前に並べられた小さなプラスチック製の椅子に腰を下ろすと、気分は地元民。すぐにローカルな空気に包まれます。
隣りに座るのは大きなリュックを背負った遠い国からのツーリストだったり、地元の人たちが宴会を開催していることもあります。

ビアホイで提供されるビールは1杯わずか数十円ほど。
大きな樽から注がれた黄金色のビールは泡立ちが控えめながら、すっきりとしていて、喉を潤すその味わいは、蒸し暑いハノイの夜に涼をもたらしてくれるよう。
ビアホイではビールのほか、おつまみや料理も楽しめ、会社帰りにここで夕食をとる地元の人もいます。

ビアホイの後は「チェータップカム（Chè Thập Cẩm）」を。
チェーとはさまざまなフルーツや豆、ゼリー、タピオカなどが入ったベトナムの伝統的なデザート。

タップカムは「五目」という意味ですが、「全部入り」の方がわかりやすいかもしれません。

暑いハノイの夜に屋台でいただく、さまざまな具材がミックスされた冷んやりしたチェー。
添えられた氷をかけて冷たくして、ココナツミルクが絡んだフルーツを口に運びながら行き交う人々を観察する時間こそ「旅」なのかもしれません。

ぎりぎりの距離で列車が通り過ぎるのを見守るトレインストリートに、現地の人たちがこよなく愛するビアホイ。
ハノイには日本では体験できない、心が動く場所があります。

＜ご案内＞
Train street
3 P. Trần Phú, Hàng Bông, Hoàn Kiếm, Hà Nội 100000 Vietnam

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