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薪能パンフレット

第67回京都薪能―五輪開催年に復興と平和を祈る―

2016.6.1~6.2

No. 9

 通りを歩くとあちらこちらで紫陽花の優しい色合いに出会います。ブーケのように可愛らしい佇まいに心が和む6月。陽射しはまるで夏のようになったり、少し涼しくなったり。そんな季節を和菓子から…

和菓子・紫陽花

 こちらは和菓子の老舗「とらや」京都一条店の季節の生菓子「紫陽花」。キラリと光るのは、雨のしずくに見立てた琥珀糖です。
 さて、今回は初めて京都薪能へ。夕方から始まる能と狂言です。場所は平安神宮で京都の初夏の風物詩と称され、昭和25年から続いています。

薪能パンフレット

 遠方からの友人と平安神宮で待ち合わせをして、開場時間の16時半に門の前へ向かいますと、長蛇の列。なんと一日2千人が入れるそうです。上演時は約3時間です。

平安神宮

 薪能は、6月1日と2日の二日間の公演で、観世、金剛、大蔵の各流派による能や狂言が楽しめる豪華なものです。当日券は5,000円。

平安神宮

 平安神宮には行かれた方も多いと思いますが、普段は何もないあの白砂利の広々とした空間が一変。朱塗りの社殿を背景に、能舞台が設営されています。
 全席自由席でしたので、中央より少し上手の席に。お着物のご夫婦や、旅行会社のツアーで来られている方々と様々です。
 開演の17時半が近づくと、少しずつ空が暮れてきて、とても気持ちの良い澄んだ空気を感じます。開演までの時間は、パンフレットを読んだり…と、ワクワクしてきます。

薪能パンフレット

 二日間の番組はそれぞれ違いますが、どちらも初めは「翁」。私が行った1日は、「翁」、「絵馬」、「福の神」、「杜若」、「春日龍神」。途中19時頃に、「火入式」、「市長挨拶」が入り、20時半頃終了予定。
 まず初めに、平安神宮の神主さんのお祓い。皆、こうべを垂れて清めていただきます。薪能は初めてですが、平安神宮ならではの雰囲気を感じました。
 そして「翁(おきな)」が始まります。裃を着た笛、鼓、太鼓、地謡(じうたい)。雲がかっていた西の空からスーッと光が差し、翁の舞が照らし出されます。
 その神々しさ、存在感。空と風、神宮の社殿。特別な時間と空間を感じるひとときです。
 能にして能にあらずといわれている「翁」を言葉ではなく、全身で感じる体験でした。

薪能

 陽も暮れてきた頃、火入式が行われます。壇上で移された火を灯し、舞台が幻想的な気配を帯びます。写真は少し弱くなってきた火に薪を足しているところです。

一の松

 一の松。一の松とは見所側に設置されている3本の松のうち、最も本舞台に近い場所にある松のこと。

一の松

 上演中は撮影ができませんので、休憩時間に一番前まで足を運びました。門の内側にはたくさんの提灯がありました。

薪能

 薪能は自然の中で移り変わる陽や、薪の明かり、そして風を感じることができ、とても自由な感じがしました。
 毎年開催される京都薪能。少しおしゃれをして、お出かけしてみてはいかがでしょう。

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