ファッションウィッグのフォンテーヌが
運営する、見るだけでも楽しい
おしゃれなお出かけ情報をお届け♪

ファッションウィッグのフォンテーヌが運営する、
見るだけでも楽しいおしゃれなお出かけ情報をお届け♪

メインイメージ

千葉市稲毛にある愛新覚羅溥傑夫妻ゆかりの住宅へ

No. 315

千葉市にある稲毛海岸は明治時代に、療養用の海水浴場が開かれた地。
当時は保養地や別荘地として注目を集めました。
稲毛浅間神社近くにある「千葉市ゆかりの家・いなげ」もかつては別荘として建てられた住宅です。
看板

この家には1937(昭和12)年、中国清朝の最後の皇帝となった愛新覚羅溥儀(あいしんかぐら ふぎ)の実弟・溥傑(ふけつ)と日本人の妻・浩(ひろ)夫妻が、半年ほど暮らしていました。
外観

私が「千葉市ゆかりの家・いなげ」に興味をもったのは『流転の王妃の昭和史』(愛新覚羅浩著 新潮社)を読んだことから。清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の実弟に嫁いだ、天皇家の血筋にもつながる嵯峨家の長女である浩さんが書かれたこの本には、新婚生活をおくった稲毛の住まいのことも書かれ、いつか立ち寄りたいと思っていました。
愛新覚羅夫妻

現在は千葉市が管理する、この住宅は大正初期の建造物。
平屋建てで、母屋と離れで構成されています。
ご夫妻が新婚時代を過ごしたのは1937(昭和12)年のこと。なぜ、稲毛だったかというと、溥傑さんは当時、陸軍歩兵学校(現・千葉市稲毛区天台)に在籍していたことから、通勤に便利なこの家を選ばれたようです。
内観

玄関に立ち、正面を撮影した写真。天井が高くて広い!

障子や欄間に凝った意匠を感じます。
格天井も配され、この家が丁寧に作られていることが伝わってきます。この家には溥傑さんのお仲間もよく立ち寄り、食事を楽しんだようです。
居間

居間の外側には藤棚が配され、藤の季節を迎えると薄紫色の美しい花が一面に咲きます。現在、この一帯は埋め立てられていますが、ご夫妻が暮らした当時は稲毛海岸が家の目の前に広がっていたそうです。藤棚の向こうには海が見えていたのかもしれません。
藤棚

お庭も和の情緒が感じられ、木々の緑を眺めるだけで心に静けさが宿るよう。家の間取りもこのお庭がとこからでも望めるように考えられています。
庭

庭2

愛新覚羅夫妻に関する資料が展示されている部屋もあります。
資料室

書家として有名な溥傑さんの書も飾られていました。
溥傑書

溥傑さんは自宅を訪ねてくる人にご自分の書を差し上げていたそうです。

家のなかには1つだけ洋間があります。
洋間

この部屋は庭に離れを築いた時に増築されたそうです。

庭も広く、柑橘系の木がたわわに実をつけていました。
庭のみかん

愛新覚羅夫妻が暮らしていた時もこの果樹は植えられていたのでしょうか。

旧侯爵家に生まれた浩さんと溥傑さんは政略結婚でしたが、とても仲が良かったそうです。この家で幸せな新婚時代をおくった、おふたりですが、やがて溥傑さんの母国・中国(満州)に渡り、終戦を迎えるとさまざまな困難が待ちかまえていました…。
ご夫妻が出くわした過酷な日々、そして日本と中国で離ればなれになっても強く結ばれたおふたりの絆については『流転の王妃の昭和史』に詳しく書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

「千葉市ゆかりの家・いなげ」を後に向かったのは「稲毛浅間(いなげせんげん)神社」です。
この神社は全国におよそ1300ある、富士山を信仰の対象とする浅間神社の1社。地元では「せんげんさま」と呼ばれています。

大きな鳥居に迎えられました。
鳥居

参道

神社の歴史は古く、創建は808(大同3)年。富士山本宮浅間大社から祭神を勧請し、祀ったのが始まりです。1187(文治3)年に社殿が再建された際には富士山の形に盛り土が行われ、富士山に向かって社殿が建てられたそうです。この時、参道も富士山を模して作られました。
この神社では源頼朝が東六郎胤頼を使いに出して武運長久を祈願したことがあるほか、地元の武将・千葉氏から崇敬された記録が残っています。

現在の社殿は1966(昭和41)年に再建。
社殿

主祭神は木花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)、瓊々杵命(ににぎのみこと)、猿田彦命(さるたひこのみこと)を祀っています。

なお、稲毛には「電気ブラン」で知られる浅草の「神谷バー」を開いた神谷伝兵衛の別荘が「千葉市民ギャラリー・いなげ」の敷地内に建っています。1918(大正7)年頃に建てられた洋風の別荘は、千葉市内に残るコンクリート建築として最も古い建造物だそうです。時間があれば、ぜひこちらも見学してはいかがでしょうか。

〈ご案内〉
千葉市ゆかりの家・いなげ
千葉県千葉市稲毛区稲毛1-16-1
TEL 043-244-5370
https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/bunkazai/yukarinoieinage.html

稲毛浅間神社
千葉県千葉市稲毛区稲毛1-15-10
TEL 043-272-0001 
http://www.inage-sengenjinja.or.jp

-