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平和を強く望むホーチミンの「戦争証跡博物館」へ

No. 406

コロナ禍を経て、久しぶりに訪れたホーチミン。
何度も訪れている街なのに、一度も足を踏み入れなかった場所がありました。
それが3区にある「戦争証跡博物館(Bảo Tàng Chứng Tích Chiến Tranh)」。

外観
これまでこの博物館に行けなかったのは「襟を正して行く場所」という思いがあったからですが、今回ようやく気持ちが熟し、訪れたいと思いました。
きっと、世の中を変えたコロナ禍を経験したことが大きいのだと思います。

アジアで唯一「世界の博物館ベスト10」にランクインし、毎年100万人以上が訪れるこの博物館はベトナム戦争の歴史を伝え、平和を訴える施設です。

屋外壁から

屋外展示2
ベトナム戦争はベトナム南北の統一と独立を巡る争いにアメリカが介入した戦争で、「第2次インドシナ戦争」ともいわれます。

博物館というから、外からは見えない要塞のような場所と勝手に思っていましたが、目の前の通りを歩いていると実際に使われた戦車や戦闘機、爆弾などの展示物が見え、意外にも開かれた場所でした。
目の前に置かれたその数々はリアルで、心に迫ってくるものがあります。

内観
中央部が吹き抜けの建物は3階建て。
見学ルートはまず3階に上がって階下へと降りて行きます。
このパネルはベトナム戦争中に現地の様子を写真を通して世界に伝えていたものの、戦時下で命を落としたカメラマンたち。
写真家を紹介するパネル

左側は外国人、右側はベトナム人です。

ロバート・キャパやラリー・バローズ、澤田教一、一ノ瀬泰造などの名前と写真があります。
彼らの仕事はよく紹介されていますが、本国ベトナムのカメラマンがこれほど多くいたことに驚きました。

この博物館はアメリカ軍の武器や軍服なども紹介していますが、写真を展示するコーナーが圧倒的に多いのが特徴といえます。

展示写真

展示写真2

戦時下のベトナムの人々や殺戮の現場をとらえた写真の数々は世界中の人々が目にすることになりました。そのおかげで世界中に反戦意識が高まり、この戦争は終息に導かれたといいます。目を覆いたくなる惨状を直視しながらも事実を伝えるためシャッターを切り続けたカメラマンの功績はとても大きいものです。

石川文洋さん展示物

同フロアには石川文洋さんが撮影した写真や資料、撮影時に着用されていた軍服、当時使っていたカメラ「ニコンF」なども常設展示されています。
戦禍を生きるベトナム人の表情をとらえた写真に足を止めて見入る人も多く、皆、心の中で何かを受け止めていたのではないでしょうか。とくに白人の入館者が多いことが印象深かったです。

戦禍の悲惨さや戦後の様子を伝える数々の写真を目にしましたが、なかでも考えさせられたのは枯葉剤の影響についてです。
連結双生児として生まれたベトちゃん・ドクちゃんが有名ですが、枯葉剤は戦後も長期にわたってベトナムに暮らす多くの人々を苦しめているものの1つ。
枯葉剤の影響を受けた人

アメリカ軍が1961年から10年の間に約7,200万ℓもの枯れ葉剤を散布したのは、解放戦線の隠れ家であるジャングルを絶滅させて農作物を汚染し、食糧を奪うためだったとか。

枯葉剤のなかには催奇性や発がん性を持つ猛毒のダイオキシンが含まれ、 現在も2世、3世への影響が指摘され、先天性、後天性の障害に苦しむ人たちがいるそうです。

こちらは2階に展示されているコロナ禍の様子をベトナムの子どもたちが描いた絵画。
絵画

絵画2

3階の展示で感じとった悲しみを少しやわらげてくれるようなカラフルな色彩。
人の顔が笑っているのが、やさしいベトナム人らしいです。

1階では世界各地のベトナム反戦運動の様子が紹介されています。
反戦運動紹介コーナー

もちろん、日本に関する展示も。数ある展示のなかでも日本の反戦運動を紹介する展示は他国より多いように感じました。
日本の反戦運動

広島・長崎に原子爆弾が投下され、被爆国となった日本の平和を願う気持ちが伝わってきました。この展示に救われた思いがしました。
建物から見た戦車

屋外のカフェほか
再び、屋外の戦闘機や戦車、再現された捕虜収容所などを見学しましたが、目の前に置かれたその数々はリアルで、心に迫ってくるものがあります。
とくに捕虜収容所はシリアスで、とても写真を撮影する気になりませんでした。

戦争証跡博物館はあまり楽しい施設ではありませんが、戦争についてとても考えさせられる場です。
展示コーナー

照りつける陽射しのなか、博物館を後に歩き続けた先で遭遇したのは「亀湖(Hô Con Rùa)」。
亀湖

ロータリー広場にある 人工の湖で、亀という名前が付いていながらも亀はいません。
ここは観光客が集まるようなスポットではなく、池のような湖の周りや広場にベトナム人たちが繰り出し、くつろいでいます。

亀湖2

なんだか平和な光景。
永遠にベトナム人の休息の場でありますように。

戦争証跡博物館はホーチミンの繁華な「ドンコイ通り」から約1kmの場所にあります。
ここからタクシーかバイタクを利用するのもよいでしょう。もちろん、歩きに自信のある方は暑さに気をつけ、水分補給をお忘れなく。

<ご案内>
戦争証跡博物館(Bảo Tàng Chứng Tích Chiến Tranh)
28 Vo Van Tan, Ward 6, District 3, HCMC
http://warremnantsmuseum.com

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