
知的好奇心が目覚める場所「国立科学博物館」へ
No. 437
東京上野公園の一角に佇む、科学と自然史の宝庫「国立科学博物館」。
通称「科博」の成り立ちは古く、1877(明治10)年に教育博物館として開館したのが始まりです。以来、日本の近代科学の発展と共に歩み、現在では自然史系総合博物館として、貴重な標本や資料を収集・保管し、展示や研究、教育活動を行っています。
その収蔵品は、なんと500万点以上! 常設展示されているのはそのわずか1%にも満たないというから、その膨大なコレクションにはただただ驚かされます。
科博は「日本館」と「地球館」で構成されていますか、私が感動を覚えるのは日本館の壮麗な建築です。
1931(昭和6)年に誕生した日本館は、ネオ・ルネサンス様式を取り入れた重厚な石造りの建物で、その美しい外観と内観が訪れる人々を魅了します。
館内に足を踏み入れると竣工当時の面影を色濃く残しており、重厚な階段や装飾の数々に歴史の重みが感じられます。事前予約が必要ですが、こちらでウエディングフォトを撮影されるカップルもいらっしゃるそうですよ。
日本館の見どころの1つは、3階北翼展示室にあるフタバスズキリュウの復元全身骨格です。これは1968(昭和43)年に福島県いわき市で当時高校生だった鈴木さんが見つけたもので、日本で最も完成度の高い首長竜の骨格として知られています。
白亜紀の海を悠々と泳いでいたであろうその姿は、私たちに太古のロマンを感じさせてくれるようです。
また、2階北翼展示室に展示されている忠犬ハチ公の剥製の前ではスマホの撮影が続くスポット。
2023(令和5)年に生誕100周年を迎えたハチ公は死後、病理解剖され、科博の剥製士によって現在の姿になりました。渋谷駅で主人を待ち続けたハチ公の姿は、忠誠心と深い愛情の象徴。今でも多くの人に愛されています。
レトロな美に満ちた日本館から連絡通路を渡ると、一転して近未来的な雰囲気を持つ地球館へ。
地球館で目をさらわれるのは、何と言っても3階に展示された大型哺乳類の剥製の群れでしょう。
躍動感あふれる剥製の展示は通路がスロープになっているので、角度を変えて観察することができます。入り口付近では上野動物園で飼育されていたフェイフェイとトントン父娘の姿も見られますよ。ここにいると、今にもこちらに近づいてきそうな剥製の迫力に圧倒されっぱなしです。
恐竜好きの人はぜひ地下1階にある巨大な恐竜の骨格展示へ。
ティラノサウルスやトリケラトプスの骨格など、恐竜が生きていた古代にタイムトリップできる展示空間に佇んでいると、そのスケールに息を呑むばかり。
さて、普段目にすることが少ない展示物をたくさん鑑賞した後は開放的な場所で一息つきましょう。
地球館の屋上デッキからは、上野の街並みや遠くに見える東京スカイツリーなどのタワーを望むことができます。
もし、お腹を満たしたいなら地球館の中2階にある「レストラン・ムーセイオン」に立ち寄ってはいかがでしょうか。
私がいただいたのは恐竜の足跡をかたどったハンバーグがのった「ジュラ紀 ハンバーグプレート」。遊び心があり、見た目も楽しいですよね。
ちなみにレストランの窓側の席に座ると、1階に広がるクジラの骨格をはじめとするさまざまな展示を鑑賞することもできますよ。
別館では特別展「昆虫 MANIAC」が開催されていました。
身近な昆虫からマニアックな昆虫まで、驚きの生態がわかる面白い展示でしたよ。
美しい建築から貴重な展示品、そして遊び心あふれるレストランまで、五感を刺激する体験を提供する科博は1日かけてじっくり楽しめる場所。
また、ミュージアムショップもフタバスズキ竜やハチ公のマスコットをはじめとするかわいいグッズがたくさん!お土産に喜ばれますね。
過去から未来へと繋がる生命の歴史と神秘を体感できる科博。
ここは何度訪れても新たな発見と感動を与えてくれます。
<ご案内>
国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.kahaku.go.jp