
ハノイ旧市街でエッグコーヒーと名店フォーに出会う
No. 438
ハノイではいくつか体験したいものがありました。
その1つが「エッグコーヒー(Cà Phê Trứng)」です。
名前を聞くと「卵の入ったコーヒー?」と思う方も多いかもしれませんが、これはハノイを訪れたらぜひ味わいたいデザートのような1杯です。
その起源は、1940年代のハノイにさかのぼります。
牛乳が手に入りにくかった時代、あるバーテンダーが卵黄とコンデンスミルクを泡立てて代用したことがエッグコーヒーの始まりだといわれています。そのお店は今もハノイ旧市街で営業を続けているとか。
ハノイ名物のこのコーヒーを体験するため、訪れたのは「Loading T Cafe」。
泊まったホテルの並びにあったレトロでミステリアスな建物の2階にあるお店に足を踏み入れると、その外観の期待を裏切らない素敵な空間が広がっていました。
柔らかな光がアンティークなガラス窓越しに差し込む店内。
どこか懐かしさを感じさせる木製の窓枠とくすんだブルーグレーのペイントが、心落ち着きます。
クラシカルなタイルが敷き詰められた床には、ベトナムの伝統とフレンチ・コロニアルな雰囲気が溶け合い、東洋と西洋が交差する趣が漂います。
壁際には花や古い書籍、陶器、書の掛け軸、レトロなポスターがさりげなく飾られ、店主の美意識が凝縮されているよう。
まるで時間がゆっくりと溶けていくような、ハノイ旧市街の隠れ家なのです。
運ばれてきたエッグコーヒーはカップの底にエスプレッソ、上にはふわふわに泡立てた卵黄とコンデンスミルクが重なり、一見するとカフェオレかカプチーノのよう。
スプーンでひと口すくってみると、もったりとして、カスタードのような濃厚でなめらかな口当たりが広がります。
まるで「飲むシュークリームの中身」のような味わいです。
店内には、観光客だけでなく地元の人々の姿も多く見られ、エッグコーヒーがハノイの日常に深く根づいていることを感じさせてくれました。
念願のエッグコーヒーですが、単なる珍しい飲み物ではなく、人々の知恵が生んだ1杯を感じさせてくれました。お店によって値段は異なりますが、大体40,000ドン(約230円)〜70,000ドン(約390円、いずれも2025年7月現在)で提供されています。
さて、このカフェのほど近くにあるフォーの名店についても紹介したいと思います。
お店の名前は「Pho Ga Nguyet(フォー・ガー・グエット)」。
ハノイに到着した夜遅く、ホテルの周辺を歩いていた時のこと。お世辞にも広いとは言えないお店は外にも簡素なテーブルと小さなプラスチックの椅子が歩道にはみ出さんばかりに並び、夜遅い時間帯にも関わらず、多くの人たちが麺をすする光景に衝撃を受け「ここは絶対に美味しいに違いない!」と、友人と後日訪れることにしたのです。
看板メニューは店名にもなっている「フォー・ガー(鶏肉のフォー)」。
私たちは汁なしの「フォー・ガー・トロン(あえ麺の鶏肉フォー)」を。
透明感のある米麺に鶏肉がたっぷり。そこに甘辛いタレ、香草、ピーナッツ、フライドオニオンをしっかり混ぜ合わせると、口の中にふくよかなうま味が広がります。
汁がないことで、素材の輪郭がよりくっきりとあらわれ、黙々と食べ進んでしまいました。ちなみに、このお店はミシュランガイドの「ピブグルマン」に選ばれています。
私的にはハノイナンバーワンのフォー!
鶏と米麺がこれほど美味しい1杯を作り上げるとは…。
しかもお値段は50,000ドン(約280円、2025年7月現在)と大変リーズナブル。
私たちは鶏胸肉の汁なし麺を注文しましたが、鶏肉は部位によってお値段が変わってきます。
ハノイ滞在中、幸運なことに美味しいエッグコーヒーにもフォーにも恵まれました。
再訪が楽しみです。
<ご案内>
Loading T Cafe
8 P. Chan Cam Hang Trong Hoan Kiem Hanoi
https://www.instagram.com/loadingt_cafe/
Pho Ga Nguyet
ベトナム5B Phu Doan St,Hoan Kiem Dist,Hanoi
(+84) 0919106192