
羽根木の美しい街並みと絶品インドカレーを巡る休日
No. 433
東京にお住いの方にはおなじみの「環七通り」は東京の大動脈ともいえる存在。
毎日絶え間なく、乗用車やトラック、バス、そして時にはサイレンを鳴らす救急車が川の流れのように行き交います。その光景は大都会に生きる人々の鼓動を象徴しているかのよう。
環七が混み合うと信号待ちの列が連なり、エンジン音とクラクションが交錯するのが日常の風景です。
京王井の頭線「新代田」駅から環七通りを北方向へ歩いて約10分ほどの場所にある、世田谷区羽根木。
環七の左手側にあたり、通りから奥に入ると竹林が続き、さっきまでの車通りの喧騒はうそのように消え、緑の多い静かな雰囲気に驚きます。
このエリアは著名な建築家によって設計された建物が点在する、建築愛好家が集まる場所。昔、この周辺は森が広がっており、その緑をとても大切にされる地主さんの想いを汲み、木々と共存する建物が誕生したそうです。
自然と建築が織りなす美しい街並みを巡ってみましょう。
「羽根木インターナショナルガーデンハウス」は、安藤忠雄の弟である北山孝二郎さんが設計したテラスハウスで、1階にはベーカリー「コムギノホシ 世田谷羽根木店」やコーヒーショップ「Bole」が入っています。
コムギノホシは都内に数店舗ありますが、この羽根木店のデッキに設けられたテーブル席は開放感のある気持ちの良い空間。天然酵母を使ったパンは地元の方々に親しまれています。
こちらは以前、紹介した下瀬美術館を設計した坂茂さんによる建造物。
「森に住む」がコンセプトで、分譲マンションや事業所として使われています。
その隣には「亀甲新」と呼ばれる建物があり、こちらは「星のや 軽井沢」などを手がけた建築家・東利恵さんの設計によるものです。京都の町家を思わせる和の情緒をそこここに感じます。
建物の1階には、屋台からスタートした大人気のカレー店「kitchen and CURRY」や針仕事の専門店 「WASABI-Elişi -ワサビ・エリシ」などが入店。
ワサビ・エリシはトルコの伝統的な手芸「オヤ(Oya)」を扱うお店で、訪問は次回のお楽しみに。オヤはトルコの女性たちが着用するスカーフの縁飾りの総称で、色々なデザインがあり、どれも緻密で美しいのです。
それぞれの建物も個性がありますが、入店しているお店はどちらもも入ってみたくなるような魅力を放っています。その全てが周囲の景観と調和し、洗練された雰囲気を醸し出しています。
ランチタイムには環七通り沿いにあるカレー店「en」へ。
京王井の頭線「新代田」駅と小田急線「代田」駅の間にあります。
以前からその佇まいとメニューが気になっていたお店で、この日念願叶って入店。
日本人シェフによる本格的なインドカレーと焼きたてのナン、そして香り高いスパイス料理を楽しめるお店です。
店内にはカウンター席も設けられており、1人でも落ち着いて食事ができます。
この日は、熱々のタンドール窯で丁寧に焼き上げられた、スパイスの芳醇な香りが食欲をそそるジューシーなチキン。
そして、素材の旨みが凝縮された2種類の本格カレーともちもちとした食感と、優しい甘みが広がるふかふかの自家製ナンをいただきました。
口にした瞬間、その完成度の高さに思わず唸ってしまうほど、どれもが想像をはるかに超える美味しさ。「来てよかった!」と心から思える、至福のひとときでした。
また、お店からは下北沢まで歩いて行くこともできます。
小田急線の線路跡地に誕生した「ボーナストラック」を通って、駅周辺まで歩くのは腹ごなしに良いかもしれません。
緑の美しい季節、ランチの後にスパイスの余韻を感じながらの散策を楽しんではいかがでしょう。
<ご案内>
カレー en
東京都世田谷区代田5-11-11 シティ代田 1F
03-5486-1011
https://curry-en.com