昔の東京に出会える「 江戸東京博物館」常設展示へ
No. 235
東京・両国といえば、大相撲の興行が行われる国技館のある街として知られています。
その両国にはもう1つ、多くの国内外の人々で賑わう人気スポットがあります。それが今回お出かけした通称「江戸博」こと「東京都江戸東京博物館」です。
写真:江戸東京博物館ツイッター(@edohakugibochan)
JR両国駅から見える江戸博の建物は「出雲大社神祜殿」や「川崎市市民ミュージアム」などを手掛けた建築家・故菊竹清訓によるもの。地上7階、地下1階の巨大な建物は国技館との調和を考えられて設計されたそうです。
高床式の外観は、私的には犬がお座りをしているようにも見えます(笑)
博物館では期間限定で開催される特別展のほか、常設展が鑑賞できます。
5階と6階に広がる常設展示室は「江戸ゾーン」と「東京ゾーン」に分かれ、東京の昔の姿を楽しみながら知ることができます。今日は見どころたっぷりの常設展示のなかから展示物をピックアップしとみました。
常設展示室に入り、江戸時代に架けられた「日本橋」のレプリカを渡ると「江戸ゾーン」がはじまります。日本橋のたもとにある精密なジオラマは江戸時代の「町割り」の様子を再現したもの。
細かいところまで見ることができるよう、双眼鏡が用意されていますよ。
これは岡山県にある津山の大名が使用していた駕籠のレプリカ。
前後2人ずつで江戸まで約680kmの道のりを担いでいたそうです。
実際に駕籠の中に入ることもできますよ。
江戸時代、多くの庶民が暮らしていたのは「長屋」でした。
展示されているのは「棟割長屋」といい、1つの長屋を薄い壁で仕切って、数世帯が住めるような設計になっていました。当時の長屋はお風呂や炊事場が共同だったところが多かったようです。
こちらは職人さんの仕事場兼住まいです。
江戸っ子たちはどんなものを食べていたのでしょうか。
現代のお寿司の祖先といえる「江戸前寿司」のレプリカを発見しました。
なんと、江戸時代のお寿司屋さんは屋台形式だったんですね。
現代よりも一貫が大きいことに驚きます。
シャリは少し赤みがかかっています。
この赤みは酒粕から作られた赤酢を用いていることから。
当時は安価な赤酢が重宝されていたそうです。
また、お蕎麦屋さんも移動式。
屋台で営業するスタイルはとても機能的に感じました。
お蕎麦は引き出しのなかに入っています。
野菜などを売り歩く行商人は「棒手振り(ぼてふり)」といわれました。
実際に「棒手振り」を体験できますが、けっこうな重量!
江戸時代に行商されていた人たちはとてもタフだったのかも。
「三井越後屋江戸本店」(現在の「日本橋三越本店」)の模型も展示されています。
15分ごとに暖簾が上がる仕掛けがなされ、左右の横からお店の人たちや出入りする人たちの様子が見られます。大店のにぎわいが伝わってきますよ。
現在の浅草橋から東日本橋周辺のエリア「両国橋」がジオラマで再現されています。
江戸博のジオラマはどれも嘆息するほど、精巧で素晴らしいですね。
江戸ゾーン最後の展示物は江戸っ子が愛した娯楽の1つ「歌舞伎」の舞台模型。
1713年に2代目市川團十郎が初演した、江戸歌舞伎の演目「助六」の場面が設定されています。奈落など、当時の裏方の仕事についても解説されていますよ。
19世紀初期の芝居小屋「中村座」を原寸大で復元した模型は圧巻です!
さて、時代はやや現代へ。ここは「朝野新聞社」です。
明治10年代の頃の建物を復元したもので、現在の銀座4丁目あたりに建造されていました。
脇には人力車や明治初期に乗られていた車輪の大きな自転車も展示されています。
明治時代、神田駿河台の高台に建つニコライ堂は東京のいたるところから望むことができました。東京の人々に親しまれていたこの建物は関東大震災でドームと鐘楼が崩れましたが、岡田信一郎が設計したドームが再興され、現在に至ります。この展示物の近くには社交場「鹿鳴館」の様子も仕掛け付きで楽しめます。
これは「凌雲閣(別名 浅草十二階)」の模型。
1890年に浅草で落成した凌雲閣(りょううんかく)は関東大震災で半壊し、解体されるまで多くの人々でにぎわいました。「雲を凌ぐほど高い」といわれた12階建てのビルは8階まで日本初となるエレベーターが設置されていたこともあったとか。
レンガ壁の奇抜なビルは現代でも人目を引くでしょう。
日本初の常設の活動写真館(映画館の旧称)が誕生したのは1903年。浅草六区の電気館がそうです。
当時、活動写真には音声がなかったので弁士(解説者)が必要不可欠でした。電気館では見世物の口上を担当していた染井三郎が弁士となり、活動写真に魅力をそえました。
大正時代に走った車の展示もありますよ。
1945年の空襲で発生した火災による熱で折れ曲がった鉄骨は、1983年に解体された浅草国際劇場の天井裏で見つかったものです。
第二次世界大戦後、航空機などに用いられていたアルミニウム合金、ジュラルミンは不要になったため、すり鉢ややかんなどに使用されました。
時代は昭和の高度成長期へ。
こちらは高度経済成長時代の象徴の1つ、「団地」の一室です。
昭和34年建造の東京・ひばりが丘団地の一室の原寸模型が展示されていますが、今にも誰かが玄関を開けて入ってきそうなリアリティ!江戸時代の庶民の多くはお風呂やトイレなどを共用していましたが、時代を経ていくにつれ、プライバシーを確保するためのさまざまな設備が開発されてきたのですね。
最後は1960年代から現代まで、その年代を象徴する道具やファッションなどがショーウインドーに目白押し。懐かしさのあまり、一瞬にして青春時代にタイムスリップする人も多いと思います。
もしかしたらここは一番足を止めてしまうコーナーかもしれません(*^^*)
お土産は「ミュージアムショップ」で購入することができます。「和」のデザインのステーショナリーやスイーツ類も充実していますよ。
リアルで面白い展示物がいっぱいの江戸博の常設展示をまわっていると、あっという間に時間が経っていました。
思索の秋ですね。
皆さんもぜひ、東京の文化や歴史を楽しく学べる江戸博におでかけされてはいかがでしょうか。
<ご案内>
東京都江戸東京博物館
東京都墨田区横網1-4-1
03-3626-9974(代表)
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
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