山形県酒田市で歴史ある洋風建築と神社仏閣を散策
No. 277
山形県酒田市に関する記事では以前、山居倉庫や土門拳記念館を紹介しました。
今回は桜の名所でもある日和山(ひよりやま)公園近くの歴史ある建造物に特化して、大正時代に建造された洋風建築や神社仏閣を紹介したいと思います。
「旧白崎医院」は映画『おくりびと』のロケ地となった「旧割烹小幡」の道路を挟んだ先に佇んでいます。酒田市に現存する唯一の大正時代に建てられた洋風木造建築で、市の有形文化財。1919(大正8)年に建てられた個人病院はかつては酒田市内の別の場所にありましたが、この地に移築されました。
白い下見板張りの壁に上げ下げ窓が秩序よく並んだ洋風の建物は、内部を見学することが可能(無料)。この医院は酒田市で油問屋を営んでいた白崎敬之助が、息子で外科医だった重治のために建てたものです。
当時、敬之助はこの建造物を設計するために、横浜などに視察を重ね、完成までに4年をかけたといいます。
設計や材料にこだわりをもって造られた旧白崎医院に足を踏み入れると、1階は畳敷きの待合室や薬局や診察室、手術室などが見られます。
こちらは手術室。
泉鏡花の『外科室』が思い出される、美しく静謐な室内は廊下より一段低く、壁にタイルが貼られています。手術で血を洗い流す時のことを考えて、このような造りになったのでしょうか。見学者のなかには昔、この外科室で手術を受けた方もいらっしゃったこともあるそう。
2階は院長の居住空間でした。窓や階段の手すりは洋風ですが、室内は和室が広がり、和洋折衷の意匠が見られます。現在は1976(昭和51)年に発生した「酒田の大火」 の記録を展示しています。
旧白崎医院から豊かな緑に包まれた道を歩いて「日枝神社」へ。
この社殿は、天明4(1784)年に本間光丘によって建立され、大己貴神(おおなむちのみこと)、大山咋神(おおやまくいのみこと)、胸肩仲津姫神(むなかたなかつひめのみこと)を祀ります。
柏手を打って参拝した後、じっくりと見学してほしいのが、社殿の細部にわたって施されたその豪華な装飾。
4本の蝦虹梁には猿の彫刻が見られますが、これは日枝神社特有の猿信仰(猿は神の使いとされる)に由来されたもの。
日枝神社を建立した酒田の本間家といえば「日本最大の地主」といわれた大庄屋(豪商)。手をかけられた緻密で美しい意匠にその財力を感じてしまいました。
また、5月に行われる例祭「山王祭」は別名を「酒田まつり」といい、おおいに賑わいます。
最後に紹介するのは真言宗開祖の弘法大師空海が開いたと伝えられる「海向寺(かいこうじ)」。
日和山公園からは徒歩約10分の高台に建っています。
皆さんは即身仏(ミイラ)をご存じでしょうか。
庄内には六体の即身仏が現存しますが、そのうちの2体はこのお寺の即仏堂に安置されていますよ。(拝観は有料)
即仏堂には安置されているのは忠海上人(1755年入定)と円明海上人(1822年入定)で、1つのお寺に2体の即身仏が祀られているのは全国でもここだけ。
入定とは、人々の苦しみを救い、願い事をかなえるため、1千日修業を積んで即身仏となる行為です。
照明が落とされた、2体の即身仏が並ぶお堂ではお寺の方に解説していただけます。
仏となったお二方は着物をまとい、座禅を組んだ状態で安置されています。
初めて見た即身仏は想像以上にリアルでした。
なお、即仏堂は拝観可能ですが、写真撮影は出来ません。
このお寺では丑年を迎えると、2体の即身仏の着物の衣替えが行われます。
身にまとっていた着物は小さく分けられ、お守りに封入されるそうですよ。
海向寺の境内には通称「あわしまさん」と言われる、女性を守護する「粟嶋水月観音堂(あわしまさま)」があります。縁結びや子授け、安産などに縁起があるそうです。
庄内の中核となる酒田市は食も充実しているし、見どころも多い地域。
雰囲気のよい洋風建築や歴史ある神社仏閣を訪れてはいかがでしょうか。
<ご案内>
旧白崎医院
山形県酒田市南新町1-6-13
TEL 0234-22-2416
日枝神社
山形県酒田市日吉町1-7-19
TEL 0234-22-0274
海向寺
山形県酒田市日吉町2-7-12
TEL 0234-22-4264
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