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東京宝塚劇場「雪組公演 るろうに剣心」

2016.4.1~5.18

No. 3

 シリーズ売上累計5,900万部を超える大ヒットコミック「るろうに剣心」を宝塚歌劇が舞台化。早霧せいなさん他、この舞台ではフォンテーヌのウィッグが数多く使われているんです。大好きな宝塚。これは観なくては。

ポスター

 「るろうに剣心」は、アニメ化、実写映画化もされ、いずれも話題を呼び大ヒットしました。アニメ版で緋村剣心の声を担当していたのは、元宝塚トップスターの涼風真世さんでした。

 宝塚歌劇団は花・月・雪・星・宙の5つの組に分かれていて、今回の「るろうに剣心」を公演するのは雪組。「和物の雪組」と言われるように、時代劇など日本物を得意としています。和物は着物の着こなしや所作振る舞い、殺陣などもあり、雪組が適任です。

 ちなみに原作ファンにしてみれば、宝塚での舞台化は大丈夫か、という不安もあるとは思いますが、実は宝塚と漫画原作は意外(!?)に相性がいいのです。

 70年代、世にベルばらブームを巻き起こし、その後も、宝塚の代表作とも言われる池田理代子原作「ベルサイユのばら」を初め、これまでにも萩原望都原作「アメリカン・パイ」、青池保子原作「エル・アルコン-鷹-」、村上もとか原作「JIN-仁-」、手塚治虫原作「ブラック・ジャック」、モンキー・パンチ原作「ルパン三世」などなど。「JIN-仁-」も「ルパン三世」も雪組で、現トップスターの早霧さんは「JIN-仁-」では坂本龍馬役、トップ就任後の「ルパン三世」ではルパン役を素敵に演じておりました。

 で、「るろうに剣心」ですが、一緒に観に行った原作ファンの友人も納得の再現力。彼女いわく「出てくる男役さんがみんなカッコイイ」と大興奮でした。帰りにはブロマイドまで買うほどの宝塚ファンになるほど、素晴らしい出来栄え。

 逆刃刀(さかばとう)を腰に下げ、不殺(ころさず)を誓う流浪人・緋村剣心(ひむら・けんしん)は、かつて幕末の維新志士の中で最強無比と言われた伝説の「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」だった……と始まるのですが、原作未読の私も充分楽しめました。

 年齢を重ねると、新しいことにチャレンジするのが億劫になりがちですが、そこを面倒がらずに好奇心をもって挑めば、そこから拡がる世界もきっとあるはず。「見る前に跳べ」(by大江健三郎)という言葉は若者よりもむしろ、中高年世代にこそ相応しい言葉と最近とみに思うのでした。

 宝塚といえばレビュー。やはりショーが魅力なのですが、今回の「るろうの剣心」も芝居が終わった後に、ちゃんとショーの時間もあります。宝塚名物ラインダンスに大階段、そして、フィナーレの際、トップスターさんが背中につける大きな大きな羽根もちゃんと見られますのでご安心を。

 そして、別の日に、池袋の東京芸術劇場で行われていた劇団民藝公演「二人だけの芝居―クレアとフェリース―」(4.4~4.21)へ。

ポスター

 テネシー・ウィリアムズ作、丹野郁弓訳・演出。出演は、奈良岡朋子・岡本健一です。

 テネシー・ウィリアムズといえば、「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」で知られるアメリカの劇作家です。日本でも翻訳され、たとえば「欲望という名の電車」の初演は文学座で、ブランチは杉村春子の当たり役として34年間に約600回も上演され、その後も、岸田今日子、大竹しのぶ、高畑淳子など錚々たる女優が演じてきた作品です。

 そのテネシー・ウィリアムズの二人芝居に挑むのは奈良岡朋子さんと岡本健一さん。演劇界の至宝と、元アイドルの異色の組み合わせは注目です。

 ある劇団を率いる座付き作家兼俳優のフェリース(岡本健一)とスター女優の姉クレア(奈良岡朋子)。地方公演のさなか、ほかの劇団員から狂人扱いされ、劇場に閉じ込められてしまう。二人はやがてくる観客のために芝居の稽古を始めるが…。

 現実と妄想が交錯、芝居のなかでに、劇中劇もあり、頭の中に「?」が浮かんでは消え、消えては浮かぶ、なんとも不思議な演劇でした。休憩前、フェリースがクレアに向かって「少し休憩しよう」と言い、舞台をはけたかと思うと、再び出てきて、観客に向かい「はい休憩、休憩、20分休憩でーす」と叫び、あっこれは本当の休憩なんだ、と。

 独特の空間でしたが、そのわけのわからなさも含めて、テネシー・ウィリアムズが描いた作品世界ということでしょうか。

 見どころはなんといっても、1929年生まれの奈良岡さんです。御年86歳にはとても見えません。現役で舞台に立つだけでも凄いことですが、声もしっかり出ていて台詞も鮮明、さすがです。姿勢も良く、自在に動き回る姿も軽やか。驚異の若さと言えるでしょう。岡本健一さんとは年齢も親子ほど離れているはずですが、違和感もなくちゃんと姉弟に見えるから素晴らしい。奈良岡朋子さんや八千草薫さん、草笛光子さんなど80代の女優さんが凜とした姿を見せてくれるのは、多くの女性たちに励みになりますし、憧れの存在でもあります。

 一方の岡本健一さんは、ジャニーズ事務所所属で、元男闘呼組のメンバー。解散後は俳優として、おもに舞台を中心に活躍しています。Hey!Say!JUMPの岡本圭人は息子で、親子2代にわたってジャニーズアイドルという稀有な存在です。

 劇団民藝は今年2月にも、「光の国から僕らのために―金城哲夫伝―」(紀伊國屋サザンシアター)というウルトラマンシリーズの草創期に活躍した脚本家金城哲夫の物語を上演。舞台にはピグモンが友情出演することもあり、ウルトラマン世代のファンも多く駆けつけていました。劇団民藝の挑戦、今後も要注目です。

 少しおしゃれをして、お芝居鑑賞はいかがでしょう。

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