酒田の美しいシンボル「山居倉庫」を訪ねる旅
No. 253
日本でも有数の米どころ、山形県庄内地方。今回はその中心地である酒田市を旅しました。
JR酒田駅に到着し、観光案内所でおすすめの観光スポットを尋ねると「滞在中、ぜひ行っていただきたいのが山居倉庫(さんきょそうこ)です。ここは酒田を代表する建物ですから」とのこと。実は旅する前に酒田出身の友人からも「山居倉庫がおすすめ」と言われていたのです。早速、観光案内所で観光専用の自転車を借りて行くことにしました。
JR酒田駅から自転車を走らせること、約10分。
川沿いに白壁の建物が見えてきました。
木造りの山居橋を渡ると、米どころ庄内のシンボルである山居倉庫が。
のこぎりの歯のような屋根が続く、白壁と木が織りなす佇まいが美しく、しばらく自転車を停めて、倉庫群を眺めてしまいました。
瓦葺土蔵造りの建物は庄内で収穫されたお米を保管するため、旧庄内藩酒井家により1893(明治26)年に建てられました。
山居倉庫はNHK朝の連続テレビ小説『おしん』のロケーションにもなったので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
なんと、この倉庫は誕生から120年以上経った今もなお現役。
「JA全農山形」の米穀倉庫として使われています。
ガラス窓の外から中を見てみました。
12棟のうち、現在は9棟が実際に米穀倉庫ととして使われ、貯蔵能力は10,800トンといいます。
かつて、酒田は北前船の寄港地で、米の積出港として賑わっていました。
江戸時代には江戸へ物資を運ぶため、西まわり航路の起点となり、大変栄えたといいます。
当時の名残が倉庫群の前にある船着き場。
明治時代に大量の米を輸送した「小鵜飼船(こうがいふね)」が、復元されて展示されています。
沢山のお米を運搬する船にしては驚くほど、船体がスリム。
船幅は約2m、長さは約15mだそう。
実は、川幅の狭い場所や急流のある最上川の水運に対応するために、このような意匠になったそう。現代に比べて流通手段が少なかった時代の工夫が感じられますね。
なお、倉庫から船着き場までのお米の運搬は女性の仕事でした。
倉庫群の裏手に行ってみましょう。
川沿いに続く白壁の表情とはまた趣の異なる、木陰と木壁が作り出す美しい光景が目に飛び込んできました。
ケヤキと倉庫に間にのびる並木道を歩いていると、心の波が徐々に穏やかになり、静かな水面をたたえたような気分に…。
昔、旅したヨーロッパの修道院にある小さな中庭で経験した静謐な時間を想起しました。
倉庫より背の高いケヤキの群れは日本海から吹いてくる強い海風と夏季の高温、冬季の風雪を防ぐために植えられました。
そのケヤキの木々が守る倉庫は、土蔵と屋根の間を空けることで気温を一定に保つことができます。温度と湿度が急激に上昇するのを防ぐというわけです。お米は低温保管が良いので、このように自然の理を利用して建てられていることに感動しました。
私が訪れたのは夏でしたが、ケヤキ並木は季節によってその表情が変わり、四季の景色を写真やスケッチにおさめに来る方も多いそうですよ。
なお、敷地内には酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」、庄内米歴史資料館も併設され、多くの人で賑わいます。庄内の食事や物産品のお買い物が楽しめるほか、『おしん』の展示も見られる「酒田夢の倶楽」をまた、ご紹介できたらと思っています♪
こちらは敷地内に鎮座している「三居稲荷神社」。
穀物や商業を司るお稲荷様は、長くお米を貯蔵してきた山居倉庫の繁栄をずっと見守ってきました。
この稲荷神社は、明治二十六年倉庫をこの地に建設するとき、旧藩主酒井家の太郎稲荷および徳川家の禎祥稲荷の二柱勧請して従来から鎮座する、山居稲荷神社に合祀して三居稲荷神社と改名し、倉庫鎮守の神としております。
(境内由緒書を引用)
さて、山居倉庫を後にランチに向かったのは、庄内浜水揚げの魚介類が食せる、お食事処「海鮮どんや とびしま」。
山居倉庫から酒田港に向かう途中では、漁船がたくさん連なる海辺の道を走りました。
日本海に面した庄内浜で水揚げされた海の幸を食べるのは初めてなので、早くも胸が高鳴ります。
自転車のペダルを漕ぐスピードも速くなっていました。
お店は日本海に浮かぶ離島「飛島(とびしま)」への玄関口でもある酒田港に併設する酒田海鮮市場の2階にあります。
とびしまはリーズナブルに新鮮な魚介類を楽しめることもあり、とても人気のお店。
地元の人も多いようです。朝食からやっていますが、時間によっては売り切れのメニューもあるので、ランチに利用するなら早めの時間帯を狙った方が良さそうです。
私が注文したのは、こちらの定食。
焼き魚(ホッケ)にお刺身5種にバイ貝のウマ煮が大集結!
普段、これほどたくさんの種類の魚介類を一度に食べる機会はほとんどないので、一つ一つ、余すことなく堪能しました。まさに至福の海の幸!
店内は広く、陽射しがたっぷり注がれます。
さて、店名の由来となった「飛島」は山形県唯一の離島で、島全体が国定公園になっています。日本海の秘境とも言われているそう。この島に行くには、さかた海鮮市場の前から定期船「とびしま」が出航され、酒田と飛島間を75分間で結んでいます。
酒田を再び旅する時はぜひ、この島にも足をのばしたいと思っています。
<ご案内>
山居倉庫
山形県酒田市山居町1-1-8
海鮮どんや とびしま
山形県酒田市船場町2丁目5-10 さかた海鮮市場 2F
TEL0234-26-6111
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