東京・城南の丘を散策。池田山から大崎広小路へ
No. 457
東京のJR目黒駅から品川駅までのいずれも山手線の内側に位置する丘陵地帯を「城南五山」と呼びます。
池田山、島津山、花房山、御殿山、そして八ツ山。かつて大名や華族が屋敷を構えた由緒ある邸宅街で、今も歴史の香りが漂っています。今回はそのなかのひとつ、池田山を起点に自然にふれあう散策にでかけました。
JR五反田駅から歩くこと約15分。
閑静な住宅街の坂道を上りきったところに、品川区立「池田山公園」はあります。入り口は2つあり、こちらの堂々とした門は豪奢な邸宅の名残を伝えるよう。

この一帯はもともと、江戸時代に岡山藩主・池田氏の下屋敷が建てられていたことから、いつしか「池田山」と呼ばれるようになりました。広大な敷地にはカモ場もあり、遠くに富士山を望むことができたといいます。
明治以降も池田侯爵邸として使われてきましたが、やがて宅地として開発され、都内有数の高級住宅地へと姿を変えていきます。品川区立の公園として開園されたのは1985(昭和60)年のこと。起伏に富んだ地形を生かし、高台から池をのぞき見る池泉回遊式庭園として整備されました。

園内に足を踏み入れると、ツツジの花が満開。
この坂を上がった高台には展望スペースが設けられています。

湧水をたたえた池は橋や小さな滝が設けられ、風流な趣を伝えます。
江戸や明治の庭師たちはこの地形と対話しながら作庭したのでしょうね


私が訪れた時はツツジの季節でしたが、梅や椿、菖蒲、紫陽花なども植えられ、見頃を迎えた季節の花を楽しみに訪れる人も多いそう。
さて、池田山公園を訪れたら、この近所にぜひ立ち寄っていただきたい小さな公園があります。
池田山公園から歩いて数分、住宅街の一角にある「ねむの木の庭」です。

こちらは上皇后陛下のご実家である正田邸の跡地を整備し、2004年に開園した公園。その名前は美智子さまが高校生のときに作られた「ねむの木の子守歌」に由来しています。
園内に足を踏み入れると、シンボルツリーのねむの木を囲むように、丁寧に手入れされた植物が出迎えてくれます。

園内ではおよそ50種類の樹木や草花が観察でき、ねむの木は毎年6月中旬になると可憐な花を咲かせます。
そのなかでもひときわ目を引くのが、鮮やかなオレンジ色の薔薇「プリンセス・ミチコ」です。

1966年にイギリス(北アイルランド)のディクソン社から、当時は皇太子妃だった上皇后陛下に献呈された品種で、オレンジの丸みを帯びた花弁が特徴です。この薔薇は春と秋に見頃を迎えるとか。

こぢんまりとした園内はどこか人を落ち着かせる力を秘めているようで、ふらりと立ち寄る人の姿が絶えませんでした。
池田山公園とねむの木の庭の散歩を終えたら、JR五反田駅を経由して、大崎広小路へ向かいます。目的地は「ピッツェリア ブルーナ」。個人的に東京でピザを食べるならこちらで、と決めているお店です。

この日はランチタイムということもあり、カウンターとテーブルは満席。薪釜で焼かれるナポリスタイルのピッツァは縁がふっくらと膨らみ、生地そのものが美味しく、端を少しかじっただけでその真価がわかるはず。

今回は「サルシッチャ&マッシュルーム」をオーダーしましたが、ジューシーなサルシッチャ(スパイスやハーブを加えた豚肉のソーセージ)と薪釜特有のスモーキーな風合いを感じさせる生地との組み合わせに、ただただ言葉を失うほど感動。
ランチタイムはサラダにドリンクも付いて1,100円(2026年4月現在)と、お財布にやさしい設定です。物価高騰の今、こんなお店があることがありがたいですね。
池田山の地形を生かした散策、ねむの木の庭で出会ったオレンジの薔薇、そして名店のピッツァ。心も胃袋も満たされました。このコースはほどよく歩けるので、五反田周辺の散策にはおすすめですよ。

<ご案内>
品川区立池田山公園
東京都品川区東五反田5-4
03-3447-4676
https://shinagawa-kanko.or.jp/spot/tokyo-park-ikedayama/
ねむの木の庭
東京都品川区東五反田5-19-5
https://shinagawa-kanko.or.jp/spot/nemunokinoniwa/
ピッツェリア ブルーナ
東京都品川区西五反田7-7-2 エスティメゾン五反田1F
03-5759-5560
https://www.instagram.com/pizzeria_bruna